コンテンツ記録日記

映画、漫画、本、音楽などなど観たり聴いたりしたものに関する記録をつらつらと。

「それでもボクはやってない」感想

周防正行監督の「それでもボクはやってない」をNetflixで観た。

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監督 : 周防正行

製作 : 亀山千広

エグゼクティブプロデューサー : 桝井省志

企画 : 清水賢治, 島谷龍成

キャスト : 加瀬亮 , 瀬戸朝香, 山本耕史, もたいまさこ, 田中哲司

2006 / 日本 上映時間 : 143分 , 配給 : 東宝 

 

解説

Shall we ダンス?」の周防正行監督、11年ぶりの新作は、痴漢冤罪事件をテーマにした社会派法廷ドラマ。通勤ラッシュ時に電車に乗っていたフリーターの徹平は、電車を乗り換える際に女子中学生から痴漢行為を問いただされ、そのまま駅事務所、そして警察へと連行される。警察、検察の執拗な取り調べにも、徹平は「ボクはやってない」と答え続けるが……。主演の徹平に加瀬亮、共演に瀬戸朝香役所広司ら。(映画.comより) 

予告

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点数 : 90点

 

題材に痴漢冤罪を扱った映画なんだけど、凄く面白かった!何といっても良かったのが、主人公の加瀬亮。怒りがにじみ出ている表情が凄く良い!

加瀬亮と言えば、記憶に残っているのがアウトレイジビヨンドの山王会若頭石原の役。

インテリヤクザが板についてたと思う!他で言えば住友林業のCM。凄く自然体でリアルな感じが出ている。こう見ると加瀬亮はなかなかのカメレオン俳優じゃなかろーか。

動画は下に↓

 

アウトレイジビヨンド」石原怒号

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  住友林業cm

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プラスでインタビューも

加瀬亮インタビュー

www.cinematoday.jp

 で今作は基本的に加瀬が冤罪で捕まってから、裁判で判決が出るまでを描いてる。これだけで143分も持つのかと思うけど、それが持つんだよね!!冤罪ってことは、罪を犯してないってことだけど、この”ない”ってのを証明するのが難しくて。それをどうやって証明していくかってのが、今まで知らなかった部分で、なるほどと思いながら見てると、143分持つんだよね!

 まず前提として、痴漢が良くないこと当たり前!なんだけど、満員電車とかに乗ってたら、手がぶつかったり、バッグがぶつかったりする可能性があるわけじゃん。故意じゃなくてさ。それで逮捕されて、仕事も家族も失ったら、ほんとやってられないよな。今回はフリーターがだったから、時間があって戦えたけど、仕事があればそんな時間の余裕もないし、早く解放されたいがために、示談に応じて罪を認めちゃう可能性とかあるなと、、、ちょっと前に女性が金欲しさに痴漢されたって虚偽の申告して、冤罪で捕まったりするわけだし。やっぱり男女で車両を分けるべきなのかなと。でも現実的ではないんだよなー。難しいところだよな。

 

 で内容の話をすると今作では最高の怒りポイントがあって、、、それは加瀬亮の家に痴漢もののDVDが置いてのが家宅捜索で発見されて、それを理由に検事が加瀬亮は痴漢を行う可能性があるっていう場面なんだけど、、、

AV観てたら犯人なのかよ!!!!

ふざけんなよ!!!!

と。こっちは怒り心頭だよ!!たしか前に性犯罪者の家から、それ関連のAVか漫画か忘れたけど、が出てきて、前から犯罪を起こす可能性があったみたいなことを聞いた記憶があるんだけど。でもさ、それって結果論だろ!!少数のバカがエンタメの内容を実行に移しただけで、AV観てる奴が全員性犯罪者なわけねーだろ!!そんなのはね、犯罪者が米食ってたから、米食ってる奴が全員犯罪者だっていうくらい暴論だよ!!

 今回なるほどなと思ったのが、「結果を前提にしちゃいけない」ということ。刑事事件の裁判って99.9%有罪判決らしい。この理由はほとんどが被告人が罪を認めていて、あとは量刑を決めるだけの量刑裁判も含んでいるからだそう。起訴事実を否認している場合でも、97%は有罪判決。これは映画内でもそういうセリフがあるが、探したらソースがあったので下に貼っておく。でもこの有罪判決の数字ってのはあくまで結果であるってことが重要(映画内でも言っている)。この数字を前提として、つまり有罪であることを前提として、偏った見方で、判断してはいけないということ。

www.keijihiroba.com

 こういう穿った見方をしてくるのが、裁判官の小日向文世。加瀬が絶対に有罪であると決めつけて、これでもかと揚げ足をとろうとしてくる。確かに無罪の判決を出すことは警察や検察つまり国家に反論することだけど、そこは人の人生を左右する裁判官としての倫理を持ってやってもらわないと、そもそものシステムが成り立たないでしょうが!!と。

 あと映像的な話をすると、「凶悪」と同様、面会室のガラス越しに対峙している2人お顔がガラスに反射して重なってるように見えるシーン。凶悪では対峙する2人が表裏一体であることをほのめかす表現だったけど、今回はそうでもない印象。

 あとは被害者の女子高生が裁判所で質疑応答する場面。被害者のプライバシー保護のために傍聴席との間に仕切りが設けられる。これを被害者の正面から写すことで、しきりの外側に加瀬の顔だけが映る(説明が難しいので、図に示す)。

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 これによって加瀬と女子高生の間に物理的なギャップがあるんだけど、これが今回の事件の事実に関する2人の間の認識のギャップのように見える上手い写し方だなと思った。

 そうそう、で、この女子高生が質疑の最中に泣くんだよね。これも怒りポイントでさ。というかこれによって思い出した出来事に対する怒りなんだけど、前に女子と喧嘩したときにそいつが泣きやがって。そうなったらこっちはもう負けじゃん!周りも「あーあ泣かせちゃった」みたいなこと言うしよ!だから今回の映画は被害者かもしれないけど、それでトラウマが植え付けられたかもしれないけど、泣く女は嫌いだね!!

あとがき

 ちょい役で出ていた竹中直人が最高だった!加瀬亮のアパートの大家なんだけど、加瀬の母親から落花生貰うや否や態度が一変するっていうのが面白かった!あと性犯罪の被害者見たさに裁判傍聴している奴らが良かった!

 あと山本耕史が良かった!加瀬が保釈金はらって警察署から出てくるときに、加瀬の今までの怒りを理解してるから傘でピーポくん殴ろうとするんだよね。そこがちょっとウルっときて。お前良い奴だな!!と。実際は近くに警察がいたから殴らなかったんだけど。